コロナ抜け毛とAGAの見分け方は?

コロナ感染後に抜け毛が増えた場合、それが一時的な「休止期脱毛症」なのか、それとも元々持っていた、あるいは新たに発症した「AGA(男性型脱毛症)」なのか、見分けることはできるのでしょうか。両者は原因も対処法も異なるため、見極めは重要ですが、自己判断は難しい場合もあります。見分けるためのいくつかのポイントを挙げてみましょう。まず、「抜け方の特徴」です。休止期脱毛症は、通常、頭部全体の髪が比較的均等に抜ける「びまん性」の脱毛です。特定の部位だけが集中して抜けるというよりは、全体的にボリュームが減ったように感じられます。一方、AGAは、前頭部の生え際(M字部分)や頭頂部(つむじ周辺)といった特定の部位から薄毛が進行していくパターンが多いのが特徴です。側頭部や後頭部の髪は比較的保たれます。次に、「抜ける髪の質」です。休止期脱毛症で抜ける髪は、多くの場合、太さや長さが正常な「成長期の髪」が、何らかの理由で強制的に休止期に入って抜けたものです。一方、AGAで抜ける髪には、細くて短い「軟毛」が多く含まれる傾向があります。これは、ヘアサイクルが短縮され、髪が十分に成長する前に抜け落ちているためです。「発症のタイミングと期間」も参考になります。コロナ後の休止期脱毛症は、感染から2~3ヶ月後くらいに始まり、通常は半年程度で抜け毛は治まってきます。一方、AGAは、感染とは関係なく、思春期以降に徐々に進行していくことが多いです。抜け毛が半年以上続く場合や、コロナ感染前から薄毛の兆候があった場合は、AGAの可能性も考える必要があります。「他の症状の有無」もチェックポイントです。コロナ後遺症としての倦怠感やブレインフォグなどが脱毛と同時に見られる場合は、休止期脱毛症の可能性が高いかもしれません。AGAには通常、このような全身症状は伴いません。ただし、これらのポイントはあくまで目安であり、併発している可能性や、非典型的なケースもあります。例えば、びまん性の円形脱毛症と区別が難しい場合もあります。最も確実なのは、やはり専門医(皮膚科医または薄毛治療専門クリニックの医師)の診察を受けることです。医師は、問診や視診、マイクロスコープでの観察などを通して、総合的に診断を下します。自己判断で誤った対策をしないためにも、不安な場合は早めに相談しましょう。