休止期脱毛症とは?コロナ後の抜け毛の正体

コロナ感染後に抜け毛が増えたと感じる場合、その多くは「休止期脱毛症(Telogen Effluvium)」と呼ばれる状態である可能性が高いと考えられています。これは、特定の病名というよりは、何らかの原因によってヘアサイクル(髪の成長周期)が乱れ、通常よりも多くの髪の毛が「休止期」に入ってしまい、その結果として一時的に抜け毛が増加する現象を指します。私たちの髪の毛は、「成長期(髪が活発に伸びる期間、通常2~6年)」「退行期(成長が止まる期間、約2週間)」「休止期(毛根が浅くなり抜け落ちる準備をする期間、約3ヶ月)」というサイクルを繰り返しています。通常、頭髪の約85~90%は成長期にあり、休止期にあるのは約10~15%程度です。そして、休止期に入った髪は、1日に50~100本程度が自然に抜け落ちます。しかし、体に大きな負担がかかると、このヘアサイクルが乱れてしまいます。コロナ感染症による高熱、炎症、栄養不足、精神的ストレスなどは、体にとって大きな負担(ストレス)となります。この負担が引き金となり、本来は成長期にあるべき髪の毛の一部が、予定よりも早く強制的に休止期へと移行してしまうのです。休止期に入った髪の毛は、すぐには抜けません。約3ヶ月程度の休止期間を経てから抜け落ちます。そのため、コロナに感染してから実際に抜け毛が増え始めるまでには、通常2~3ヶ月程度のタイムラグがあるのです。このタイムラグがあるために、抜け毛の原因がコロナ感染であると気づきにくい場合もあります。休止期脱毛症の特徴は、特定の部位だけでなく、頭部全体の髪の毛が比較的均等に抜ける「びまん性」の脱毛であることです。シャンプー時やブラッシング時などに、ごそっと大量に髪が抜けるように感じることがあります。幸いなことに、休止期脱毛症は、原因となった体の負担が取り除かれれば、ヘアサイクルは自然に正常な状態に戻り、抜け毛は徐々に治まっていくことがほとんどです。通常、原因除去後、半年から1年程度で元の毛量に回復すると言われています。

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