30代で薄毛のサインに気づいたとき、「まだ大丈夫だろう」「もう少し様子を見よう」と、治療の開始をためらってしまう方もいるかもしれません。しかし、もしその原因がAGA(男性型脱毛症)である場合、治療は「できるだけ早く始める」ことが推奨されます。なぜなら、AGAは進行性の脱毛症であり、放置しておくと薄毛は徐々に進行していくからです。AGA治療の効果は、毛根がまだ生きている(毛母細胞が活動している)状態の方が高く現れやすいとされています。薄毛がかなり進行し、毛根が完全に委縮してしまってから治療を開始しても、十分な発毛効果が得られにくくなる可能性があります。つまり、治療開始が早ければ早いほど、薄毛の進行を食い止め、現状を維持したり、改善したりできる可能性が高まるのです。では、具体的にどのタイミングで治療を開始すべきでしょうか。明確な基準はありませんが、以下のようなサインが見られたら、専門医への相談と治療開始を検討する良いタイミングと言えます。「抜け毛が明らかに増え、それが数ヶ月以上続いている」「髪の毛が細くなり、ハリやコシがなくなってきた」「生え際(M字部分)の後退やつむじ周りの薄毛が、自分でもはっきりと認識できるようになった」「スタイリングで薄毛をカバーするのが難しくなってきた」「周りの人から薄毛を指摘された」。これらのサインは、AGAがある程度進行し始めている可能性を示唆しています。もちろん、これらのサインがなくても、将来的な薄毛を予防したいという目的で、早期に相談することも可能です。治療を開始するにあたっては、まず専門医(皮膚科またはAGA専門クリニック)を受診し、正確な診断を受けることが必須です。本当にAGAなのか、どの程度進行しているのかを評価してもらい、適切な治療法(内服薬、外用薬など)について説明を受けます。治療には費用もかかり、継続も必要となるため、医師とよく相談し、納得した上で治療を開始することが大切です。「まだ30代だから」と油断せず、薄毛のサインに気づいたら、できるだけ早く専門家への相談という行動を起こすこと。それが、将来の髪を守るための最も重要な一歩となります。