抜け毛の量だけでなく、「抜け毛の質」をチェックすることも、自分の髪や頭皮の健康状態を知る上で非常に重要です。特に注目したいのが、抜け落ちた髪の毛の「毛根」部分です。毛根の状態を見ることで、その抜け毛が自然なヘアサイクルの終わりによるものなのか、それとも何らかのトラブルが原因で抜けてしまったのかを推測することができます。まず、健康な状態で自然に抜け落ちた髪の毛（休止期脱毛）の毛根は、一般的にマッチ棒の先端のように、根本が少し丸く膨らんでいるのが特徴です。これは、毛根が活動を終え、自然に抜け落ちる準備が整っていたことを示しています。色は白っぽいか、やや透明感があることが多いです。もし、あなたの抜け毛の多くがこのような形状をしていれば、過度に心配する必要はないかもしれません。一方で、注意が必要な毛根の状態もあります。例えば、毛根部分が細く尖っていたり、萎縮していたり、あるいは毛根自体が見当たらないような場合は、髪が十分に成長する前に、何らかの原因で強制的に抜け落ちてしまった可能性があります。これは、AGA（男性型脱毛症）などでヘアサイクルの成長期が短縮されているサインかもしれません。また、毛根部分に白い塊や、ネバネバとした皮脂のようなものが付着している場合も要注意です。これは、頭皮の皮脂分泌が過剰であったり、毛穴が詰まっていたり、あるいは脂漏性皮膚炎などの頭皮トラブルが起きている可能性を示唆しています。頭皮環境が悪化していると、健康な髪の成長が妨げられ、抜け毛が増える原因となります。抜け毛を見つけたら、すぐに捨ててしまうのではなく、一度立ち止まって、毛根部分をじっくりと観察してみてください。ティッシュペーパーなどの白い背景の上で見ると分かりやすいでしょう。毛根の状態は、目に見えない頭皮やヘアサイクルの状態を教えてくれる貴重なサインなのです。