鏡の前で前髪をかき上げた瞬間、心臓が大きく跳ねたのを今でも鮮明に覚えています。まさか自分が薄毛に悩むなんて思ってもみませんでした。まだ20代半ばで仕事もプライベートも充実している時期でしたし、薄毛といえば年配の男性の悩みだという勝手な思い込みがあったからです。しかし現実は残酷で、おでこの広さが以前よりも目立つようになっていました。最初は気のせいだと言い聞かせていましたが、日差しの強い日に外出先のトイレで鏡を見たとき、生え際の透け感がはっきりと分かってしまい愕然としました。それからの毎日は恐怖との戦いでした。風が吹くと前髪が割れておでこが全開になるのが怖くて、常に手で髪を押さえる癖がついてしまいました。美容院に行くのも億劫になり、担当の美容師さんに薄くなったと思われたくない一心で、しばらく足が遠のいてしまったこともあります。友人との旅行でも、お風呂上がりの姿を見られるのが嫌で、ドライヤーをかけるときは誰よりも早く洗面所を陣取り、必死に隠しながら髪を乾かしていました。そんな私が薄毛と向き合うきっかけとなったのは、同じような悩みを抱える同世代の女性のブログを見つけたことでした。そこには20代で生え際の薄毛に悩み、クリニックに通ったり生活習慣を改善したりして克服していく様子が赤裸々に綴られていました。自分だけではないんだという安堵感とともに、放置していても治らないという現実を突きつけられた気がしました。私は意を決して、自分の生活を見直すことにしました。まず疑ったのは過度なダイエットと不規則な食生活です。仕事が忙しく、昼食はコンビニのおにぎり一個で済ませ、夜は遅い時間に油っこいものを食べるという生活が続いていました。髪の毛を作るためのタンパク質やビタミンが圧倒的に不足していたのです。そこで自炊を心がけ、大豆製品や野菜を積極的に摂るようにしました。また、睡眠時間も確保するように努めました。以前はスマホを見ながら深夜まで起きていましたが、日付が変わる前にはベッドに入り、質の高い睡眠をとることを意識しました。生活習慣の改善と並行して、頭皮ケアにも力を入れました。ドラッグストアでなんとなく選んでいたシャンプーを辞め、アミノ酸系の頭皮に優しいものに変えました。洗髪時の力加減も見直し、爪を立てずに指の腹で優しくマッサージするように洗うことを徹底しました。最初は効果が出るのか不安で仕方ありませんでしたが、数ヶ月が経った頃、生え際に産毛のような短い髪が生えてきているのに気づきました。それは本当に小さな変化でしたが、私にとっては大きな希望の光でした。今では以前のように風を恐れることもなくなり、好きなヘアスタイルを楽しめるようになりました。もし今、生え際の薄毛に悩んでいる20代の女性がいたら伝えたいです。あなたは決して一人ではありません。そして、早めに対策を始めれば必ず変化は訪れます。自分の体を労り、正しいケアを続けることが、自信を取り戻すための一番の近道なのだと私は自身の体験を通して強く感じています。