鏡を見るたびに何かがおかしいと感じ始めたのは社会人になって三年目が過ぎた頃でした。毎朝の身支度で私は決まって髪を後ろで一つに束ねていました。仕事中に髪が顔にかかるのが嫌だったしきっちりとした印象を与えたかったからです。しかしある日メイクをしている最中にふとおでこが以前よりも広くなっているような違和感を覚えました。最初は気のせいだと言い聞かせていましたがスマホにある学生時代の写真と見比べた瞬間に血の気が引く思いがしました。明らかに生え際のラインが後退しており産毛が消失して地肌が透けて見えていたのです。まだ二十代半ばなのに薄毛に悩むなんて想像もしていませんでしたし女性にとって髪は命とも言える存在ですからそのショックは計り知れないものでした。インターネットで検索してみると牽引性脱毛症という言葉が見つかりました。長時間髪を強く引っ張り続けることで毛根に負担がかかり血行が悪くなって抜け毛が増える症状です。まさに私の毎日のヘアスタイルそのものでした。二十代の女性でも同じような悩みを抱えている人が意外に多いことを知り少しだけ救われた気持ちになりましたが同時にこのままではいけないという焦燥感に駆られました。私はその日からきつく結ぶのをやめました。仕事中は緩めのハーフアップにするかシュシュを使って優しくまとめる程度に留めるように心がけました。また分け目を毎日変えることで特定の場所に負担がかからないように工夫もしました。ヘアスタイルを変えるだけでなく頭皮のケアも始めました。お風呂上がりには育毛剤を塗布して指の腹を使って優しくマッサージをするのが日課になりました。頭皮が硬くなっていると血流が滞り髪に栄養が行き渡らなくなるためとにかく柔らかくすることを意識しました。さらに食生活も見直しました。忙しさにかまけてコンビニ弁当ばかり食べていましたがタンパク質や亜鉛やビタミン類を積極的に摂るように自炊を増やしました。髪の毛を作るのは結局のところ自分の体が摂取した栄養素だからです。対策を始めてから半年ほど経った頃でしょうか。鏡で生え際をじっくり観察してみると細くて短い産毛がチリチリと生えてきているのを発見しました。あの時の喜びは今でも忘れられません。完全に元の状態に戻るまでにはまだ時間がかかるかもしれませんが正しいケアを続ければ髪は応えてくれるのだと実感しました。もし私と同じように毎日髪を結んでいて生え際に違和感を覚えている方がいたらすぐに髪を下ろして頭皮を休ませてあげてください。早めの気づきと対策が未来の髪を守ることに繋がります。
毎日結んでいたら生え際が薄くなった私の体験談