産後の抜け毛に悩んだ私が豆乳に救われた話
長男を出産して三ヶ月が過ぎた頃、私の髪に異変が起きました。お風呂の排水溝が、毎日見るのも恐ろしいほど髪の毛で真っ黒になるのです。分け目はくっきりと広がり、髪全体のボリュームは見る影もありませんでした。これが産後脱毛だと頭では分かっていても、鏡に映る自分の姿に深く落ち込み、育児の疲れも相まって、まさに心身ともにボロボロの状態でした。そんな私を見かねた母が、毎日のように差し入れてくれたのが、一本の豆乳でした。「栄養をつけなきゃだめよ」という母の優しさが嬉しくて、毎朝飲むのが日課になりました。産後の抜け毛は、妊娠中に髪の成長を維持していた女性ホルモンが、出産後に急激に減少することが主な原因です。豆乳に含まれる大豆イソフラボンは、この乱れがちなホルモンバランスを穏やかにサポートしてくれます。また、慣れない育児で食事もままならなかった私にとって、豆乳は手軽にタンパク質やビタミンを補給できる貴重な栄養源でした。飲み始めて数ヶ月、劇的な変化はありませんでしたが、半年が過ぎた頃、ふと気づくと抜け毛の量が落ち着いていました。そして、分け目のあたりに、ツンツンと短い新しい毛がたくさん生えてきているのを発見したのです。その短い毛が、私には何よりも力強い生命力の証のように見え、自然と涙がこぼれました。豆乳が直接的に髪を生やしたわけではないかもしれません。でも、心と体に栄養を与え、私が本来持っている力を取り戻すきっかけをくれたのは、間違いなくあの豆乳だったと信じています。