20代半ばの私にとって、鏡は恐怖の対象でした。朝起きて洗面台に向かうのが苦痛で、メイクをするときもおでこを見ないように目を逸らしていました。私の悩みは生え際の両サイドがM字のように後退してきたことでした。周りの友人は流行りのヘアスタイルを楽しんでいるのに、私は常におでこを隠すことばかり考えていました。「どうして私だけ?」という劣等感と、誰かに指摘されるのではないかという不安で、心は常に曇っていました。インターネットで「女性 生え際 薄毛」と検索しては、深刻な症例写真を見てさらに落ち込むという負のループに陥っていたのです。そんな精神状態で過ごしていたある日、久しぶりに会った学生時代の先輩の言葉が私の転機となりました。先輩は私の視線が泳いでいることに気づいたのか、優しく声をかけてくれました。「何か悩んでる?髪型、いつもと雰囲気違うね」と。私は堰を切ったように悩みを打ち明けました。すると先輩は笑うことなく真剣に聞いてくれ、自身の経験を話してくれました。先輩もかつて仕事のストレスで円形脱毛症になったことがあり、その時に専門家に相談したことで救われたというのです。「一人で悩んでネットの情報に振り回されるより、プロに見てもらった方が絶対にいいよ。原因がわかれば対策も見えてくるから」という言葉に背中を押され、私は勇気を出して薄毛治療専門のクリニックのカウンセリングを予約しました。クリニックに行くのはとても勇気がいりましたが、そこは想像とは全く違う空間でした。プライバシーが配慮されており、スタッフの方も親身になって話を聞いてくれました。マイクロスコープで頭皮の状態を見た医師からは、「遺伝的な要素もありますが、一番の原因は頭皮の血行不良と乾燥、そして間違ったケアによるものです」と診断されました。毛根はまだ生きているから、適切な治療とケアを行えば改善の余地があると言われ、その場で涙が出そうになるほど安堵しました。それからは処方された内服薬と外用薬を使いつつ、医師のアドバイス通りに生活習慣を改善しました。シャンプーの選び方や洗い方、頭皮マッサージの方法など、今まで自己流で行っていたケアがいかに頭皮に負担をかけていたかを知り、すべて一から見直しました。治療を始めて数ヶ月は目に見える変化がなく、不安になることもありましたが、半年が経った頃、生え際に確かな変化が現れました。産毛が濃くなり、おでこの広さが以前ほど気にならなくなったのです。そして何より変わったのは私の心でした。正しい対策をしているという自信が、不安を打ち消してくれました。今では鏡を見ることが怖くありません。新しいヘアスタイルにも挑戦できるようになり、風が吹いても堂々としていられます。私が生え際の悩みから解放された理由は、単に髪が生えたからだけではありません。「行動した」という事実が私を変えてくれたのです。
鏡を見るのが怖かった私が生え際の悩みから解放された理由