冬になると抜け毛が増え、「このまま薄くなってしまうのではないか」と鏡を見るたびに不安になる。そんな悩みを抱える方にとって、最も気になるのは「この薄毛は、春になれば治るのだろうか?」という点でしょう。結論から言うと、その可能性は十分にあります。多くの動物に毛が生え変わる「換毛期」があるように、人間にも季節によって髪の生え変わりのサイクルが変動する「季節性脱毛」という現象が存在すると考えられています。冬の抜け毛は、この季節性脱毛の一環であることが多いのです。冬の薄毛の主な原因は、前述の通り、寒さによる血行不良や乾燥、生活習慣の乱れによる頭皮環境の悪化です。これらは、季節に起因する一時的な要因です。そのため、春になり、気候が温暖になって血行が改善されたり、日照時間が増えて体内のリズムが整ったりすることで、頭皮環境も回復し、抜け毛が自然と治まって新しい髪が健やかに生え始める、というケースは決して珍しくありません。つまり、冬の薄毛の多くは、一過性のものであり、過度に心配しすぎる必要はないと言えます。しかし、ここで注意しなければならない点があります。それは、冬の薄毛が、単なる季節性のものだけでなく、AGA(男性型脱毛症)やFAGA(女性男性型脱毛症)といった、進行性の脱毛症の初期症状である可能性も隠れているということです。もし、抜け毛の量が明らかに異常である、生え際が後退してきた、頭頂部が透けて見える、抜け毛が細く短いものばかり、といった特徴が見られる場合は、季節性のものだと自己判断してしまうのは危険です。春になっても抜け毛が減らない、あるいは薄毛が進行しているように感じる場合は、一度、皮膚科や専門のクリニックに相談することを検討すべきです。冬の薄毛は「治る」可能性が高いものですが、それを過信せず、自分の髪の状態を正しく見極めることが大切なのです。