高価な育毛剤を使い、クリニックに通って薬を服用していたとしても、日々の生活習慣が乱れていては、その効果を十分に発揮することはできません。私たちの体は食べたものから作られ、寝ている間に修復されます。髪の毛も例外ではなく、毎日の食事と睡眠が健康な髪を育てるための土台となります。特に二十代から三十代の若い世代は、仕事の忙しさや付き合いなどで生活が不規則になりがちですが、若ハゲの進行を食い止め、発毛を促進するためには、内側からのケアが極めて重要になります。ここでは、髪にとって不可欠な栄養素と睡眠のメカニズムについて詳しく解説していきます。まず食事についてですが、髪の主成分は「ケラチン」というタンパク質です。つまり、タンパク質が不足すると、髪を作る材料が枯渇してしまいます。肉、魚、卵、大豆製品などを毎食バランスよく摂取することが基本です。しかし、タンパク質を摂るだけでは不十分です。摂取したタンパク質を体内でケラチンに合成するためには、「亜鉛」というミネラルが必須となります。亜鉛は牡蠣やレバー、ナッツ類に多く含まれていますが、現代人の食生活では不足しがちな栄養素の一つです。さらに、アルコールの分解にも亜鉛が消費されるため、お酒をよく飲む人は意識的に摂取する必要があります。また、頭皮環境を整えるビタミン類も重要です。ビタミンB群は代謝を助け、ビタミンEは血行を促進し、ビタミンAやCは抗酸化作用で頭皮の老化を防ぎます。一方で、脂っこい食事や糖質の摂りすぎは皮脂の過剰分泌を招き、毛穴を詰まらせて頭皮環境を悪化させる原因になります。ファストフードやスナック菓子は控えめにし、和食中心の食生活を心がけることが、遠回りのようでいて確実な薄毛対策となります。次に睡眠の重要性についてです。髪の毛は寝ている間に成長します。特に、入眠から三時間ほどの深い眠りの間に分泌される「成長ホルモン」は、毛母細胞の分裂を活発にし、髪の成長を促す重要な役割を果たしています。睡眠不足が続くと、この成長ホルモンの分泌量が減少し、髪が十分に育つ前に抜け落ちてしまう原因になります。また、睡眠不足は自律神経の乱れを引き起こし、血管を収縮させて頭皮への血流を悪化させます。どんなに栄養のある食事を摂っても、それが血液に乗って毛根まで届かなければ意味がありません。「寝る子は育つ」と言いますが、「寝る大人は髪が育つ」と言っても過言ではないのです。質の高い睡眠を確保するためには、寝る前の準備が大切です。スマホやパソコンのブルーライトは脳を覚醒させ、睡眠の質を低下させるため、就寝の一時間前には使用を控えるようにしましょう。また、ぬるめのお湯に浸かって体を温めたり、リラックスできる音楽を聴いたりして副交感神経を優位にすることで、スムーズに入眠できます。飲酒は寝付きを良くすると思われがちですが、眠りが浅くなり、途中覚醒の原因になるため、寝酒は控えるべきです。もしどうしても睡眠時間が確保できない場合は、短時間でも深く眠れるような環境作りを心がけてください。