こめかみ部分の薄毛、いわゆる「こめかみハゲ」に悩む方にとって、最も知りたいのは「治るのかどうか」ということでしょう。その答えは、薄毛の原因と、どのレベルまでの改善を「治る」と捉えるかによって変わってきます。まず、こめかみハゲの主な原因であるAGA（男性型脱毛症）の場合、現在の医学では「完治」させる、つまりAGAの体質そのものをなくすことは困難です。AGAは進行性の脱毛症であり、治療をやめれば再び薄毛が進行し始める可能性が高いです。しかし、「改善」や「進行抑制」は十分に可能です。フィナステリドやデュタステリドといった内服薬でAGAの進行にブレーキをかけ、ミノキシジル外用薬で発毛を促すことで、こめかみ部分の抜け毛を減らし、細くなった髪を太く育て、見た目の薄さを改善することは期待できます。治療を早期に開始し、継続すれば、多くの人で現状維持以上の効果が得られています。ただし、効果の程度には個人差があり、完全に元の状態に戻るとは限りません。特に、薄毛がかなり進行し、毛根が完全に活動を停止してしまっている場合は、発毛効果を得るのは難しくなります。もし、こめかみ部分の薄毛が「生まれつき」の体質によるものであれば、それは病気ではないため、「治す」という概念は当てはまりません。もともと毛根がない場所に髪を生やすことはできません。この場合は、髪型やスタイリングでカバーするなどの工夫が現実的な対処法となります。「牽引性脱毛症」が原因であれば、原因となっている髪型や習慣をやめることで、毛根への負担がなくなり、多くの場合、髪の状態は改善していきます。ただし、長期間にわたって強い力が加わっていた場合、毛根がダメージを受けて回復しないこともあります。「脂漏性皮膚炎」などの頭皮トラブルが原因であれば、その治療を行うことで抜け毛が減り、改善が期待できます。このように、「こめかみハゲは治るか？」という問いに対しては、「原因によっては改善や進行抑制が可能だが、完治が難しいケースや、そもそも治療の対象とならないケースもある」というのが現実的な答えになります。大切なのは、まず専門医に相談して正確な原因を知り、それに応じた適切な対策や治療法について、現実的な期待値を持って取り組むことです。