毎日のシャンプータイム。泡立てた髪を洗い流すとき、指に絡みつく髪の毛や、排水溝に溜まる髪の毛を見て、「うわっ、こんなに抜けた!」と、ぎょっとすることはありませんか? シャンプー中は、一日のうちで最も抜け毛が目につきやすいタイミングかもしれません。しかし、そこで見られる抜け毛が、必ずしも異常な抜け毛とは限りません。一日に50本から100本程度の髪が自然に抜けることは、先に述べた通りです。その多くは、シャンプー時の物理的な刺激(洗う、すすぐ)によって、すでに抜け落ちる準備ができていた休止期の髪が、まとめて洗い流されているだけなのです。ですから、シャンプー中に多少の抜け毛があるのは、ごく自然な現象であり、過度に心配しすぎる必要はありません。ただし、注意すべき点もあります。それは、「洗い方」です。もし、爪を立ててゴシゴシと力を入れて洗っていたり、洗浄力の強すぎるシャンプーで必要な皮脂まで奪っていたりすると、頭皮を傷つけたり、乾燥させたりして、健康な髪まで抜けやすくしてしまう可能性があります。シャンプーは、指の腹を使って優しくマッサージするように洗い、すすぎは丁寧に行うことが大切です。また、「以前と比べて、明らかにシャンプー時の抜け毛が増えた」と感じる場合は、やはり注意が必要です。季節性のものか、生活習慣の変化によるものか、あるいはAGA(男性型脱毛症)などが進行し始めているサインなのか、他のチェックポイント(抜け毛の質、頭皮の状態など)と合わせて判断する必要があります。シャンプー時の抜け毛の本数に一喜一憂するよりも、長期的な視点で「量が増え続けていないか」「細く短い毛が多くなっていないか」といった変化を観察することが重要です。そして、もし明らかに異常を感じる場合は、専門医に相談しましょう。シャンプーは頭皮を清潔に保つための大切なケアですが、間違った方法で行うと逆効果にもなりかねません。正しいシャンプー方法を身につけ、抜け毛の本数に過度に神経質にならず、冷静に自分の髪の状態をチェックする習慣をつけましょう。