原因特定へ、必要な検査は何がある?

問診と視診だけではAGAの診断が確定できない場合や、他の脱毛症との鑑別が必要な場合、あるいは治療方針をより正確に決定するために、いくつかの「検査」が行われることがあります。AGA治療の流れの中で行われる可能性のある主な検査について知っておきましょう。最も一般的に行われるのが、「マイクロスコープ(またはダーモスコープ)による頭皮・毛髪診断」です。これは、数十倍から数百倍に拡大して頭皮や毛髪の状態を観察できる特殊なカメラを用いた検査です。視診だけでは分かりにくい、毛穴の詰まり具合、頭皮の炎症の程度、髪の毛一本一本の太さや密度のばらつき、AGA特有の軟毛化の進行度などを詳細に評価することができます。多くのAGAクリニックで導入されており、診断の精度を高める上で非常に役立ちます。次に、「血液検査」が行われることもあります。これは、薄毛の原因がAGAだけでなく、他の内科的な要因(例えば、甲状腺機能の異常、貧血、栄養不足など)が隠れていないかを確認するために行われます。また、AGA治療薬(特に内服薬)を開始する前に、肝臓や腎臓の機能に問題がないかをチェックする目的でも実施されます。治療中も、薬の副作用が出ていないかを確認するために、定期的に血液検査を行うことがあります。さらに、より詳細な情報を得るために、「AGA遺伝子検査」が行われることもあります。これは、唾液や口腔粘膜から採取したDNAを解析し、AGAの発症に関わる遺伝子(アンドロゲンレセプター遺伝子など)のタイプを調べる検査です。自分が遺伝的にAGAを発症しやすい体質かどうか、また、代表的な治療薬であるフィナステリドが効きやすいタイプかどうかなどを予測するのに役立ちます。ただし、この検査はAGAの確定診断を行うものではなく、あくまでリスクや傾向を知るための参考情報という位置づけです。これらの検査は、すべてのケースで必ず行われるわけではありません。医師が問診や視診の結果を踏まえ、必要と判断した場合に行われます。検査の目的や内容、費用などについては、事前に医師から十分な説明を受けるようにしましょう。