「最近、髪全体のボリュームが減った気がする」「分け目が広くなったように見える」「髪が細くてぺたんとしてしまう」…このような悩みを抱える女性は少なくありません。特定の部位だけが薄くなるのではなく、頭部全体の髪の毛が均等に薄くなっていく、この状態は「びまん性脱毛症」と呼ばれ、女性の薄毛の最も一般的なタイプとされています。びまん(diffuse)とは「広範囲に広がる」という意味で、その名の通り、脱毛が頭部全体に広がって起こるのが特徴です。男性のAGA(男性型脱毛症)のように、生え際が後退したり、頭頂部だけがはげたりするのとは異なり、全体の髪の密度が低下し、地肌が透けて見えるようになるため、本人は薄毛を自覚していても、周りからは気づかれにくいこともあります。髪の毛一本一本が細く、弱々しくなる(軟毛化)傾向も見られます。びまん性脱毛症は、特定の病名というよりは、様々な原因によって引き起こされる症状の総称として使われることもあります。原因としては、加齢によるホルモンバランスの変化(特に女性ホルモンの減少)、FAGA(女性男性型脱毛症)、ストレス、睡眠不足、栄養不足(過度なダイエットなど)、間違ったヘアケア、甲状腺疾患や貧血などの病気、薬の副作用などが考えられます。原因が一つである場合もあれば、複数の要因が複合的に関わっている場合もあります。このタイプの薄毛は、ゆっくりと進行することが多いため、変化に気づきにくいこともありますが、放置しておくと徐々に進行していく可能性があります。もし、髪全体のボリュームダウンや密度の低下を感じたら、びまん性脱毛症の可能性を考え、その原因を探ることが対策の第一歩となります。